ソウシのひと 【vol.3 福島さん】

連載シリーズ「ソウシのひと」の第三弾です。

「ソウシのひと」では、SOCIスタッフへのインタビューや主催イベントのレポートを通じて、私たちが今まさにどのように「まちと、プロジェクトと、つながって」いるか紹介し、私たちの人となりやSOCI流のデザインの一端、そして今後の展望を発信していきます。(聞き手:SOCIスタッフ 金子将太)

第一回須永さんの記事はこちら

第二回金子さんの記事はこちら

第三回は、須永さん、金子さんに続いて、三人目のメンバーとしてSOCIに加入した、福島沙瑛さんにインタビューしました。その人となりから担当中のプロジェクトまでお聞きしました。

福島沙瑛さん

 建築に興味を持たれたきっかけと、学生時代に特に力を入れていたことについて教えてください。

小さい頃から手を動かす工作が好きで、漠然と建築に憧れを持っていました。地元の大学に進学し、恩師である山口大学の宋先生との出会いや改めて自分が育ってきた地域の歴史・自然を学んだことをきっかけに、それまで「何もない」と思っていた地元にも、他の都市とは違う価値があり、まちを深く愛する人々がいることを知りました。

大学4年生で研究室に所属してからは、「YCCU(若者クリエイティブコンテナ宇部)」という官民学連携のまちづくり組織で、実践的な活動に没頭しました。学生の視点から様々なプロジェクトに取り組んだ経験は、現在の仕事の原点になっています。

特に印象深いのは、以下の3つのプロジェクトです。

  • コロナ禍での飲食店支援(2020年 学部4年生):市内の飲食店の運営が厳しい状況に置かれる中、道路空間にテラス席を設けるプロジェクトを提案。行政と連携し、特例を導入するための運用ルール案を作成しました。社会の課題がまちにどう影響するか、そして公共空間の使い方がどう変化するかを直接的に感じた経験でした。
  • ウォーカブルなまちを目指した社会実験(2021年 修士1年):宇部市のメインストリートを対象地として車道を歩行空間として活用する社会実験を実施しました。企画から効果検証まで自ら考えたこの経験は、今の業務に活かされています。
  • 道路改修を見据えたワークショップ(2022年 修士2年):前年の実験を踏まえ、将来の道路整備を見据えたワークショップを開催しました。地域住民の意見を空間デザインに落とし込むプロセスを通して、まちづくりにおける合意形成の重要性を学びました。
まちに出ることが好き

SOCIに入社を決めた理由はどういったものですか?

就職活動の軸は3つありました。

  1. 学生時代にYCCUで経験したような、まちづくりやパブリックスペースの利活用を考えるような仕事にしたい。
  2. 拠点を問わず、全国各地を対象に働きたい。
  3. 大規模な組織ではなく、少数精鋭の場所で働きたい。

SOCIを知ったのは、ウェブサイトで「OPEN NUMAZU STREET」の写真を見たのがきっかけです。専門知識がない人にも「楽しそう」「行ってみたい」と思わせるような、魅力的な空間づくりのアプローチに感銘を受けました。

また、大薮さんと面談する中で、社会実験が一過性のイベントではなく、長期的な戦略の中の1つの方法として取り組んでおり、広い視野からヒューマンスケールの検討まで行っていることを知りました。学生時代の自分からしてみると、自分にはそんな提案できるのだろうかという不安と新しいことをやってみたいという興味で変な気持ちになっていました。 そして地方で暮らしていたこともあり1週間のインターンに参加させてもらってもらいました。(交通費・宿泊費込みで!)スタッフの方々と直接話す中で、スタッフの人柄もあり、この会社なら自分の軸を実現できると感じ、入社を決めました。特にインターンの中では、参加者が意見を出しやすくなるよう、次の展開を見据えるような工夫されたワークショップの仕組みを見たときは、「学生時代とは全く違う、こんなやり方があるんだ」と衝撃を受け、自分もこんな仕事がしてみたいと強く思いました。

入社して3年間経ちましたが、どのようなお仕事に関わっていますか?

入社して3年経ちましたが、多くのプロジェクトに携わらせていただきました。

1年目は、千葉市の「弁天31号線基本設計業務」や、池袋の「LIVING LOOP」の調査業務などを担当しました。地方都市を対象とした調査が多かった学生時代と比べて、大都市圏での調査は数値的な違いを肌で感じることができ、質の高い空間づくりには何が必要かを考えるきっかけになりました。

2年目には、前年の基本設計を引き継いだ「弁天31号線実施設計業務」や、朝霞市の「北朝霞駅前広場設計業務」を担当しました。特に駅前広場のプロジェクトでは、得意な模型づくりを活かしながら、学生時代の経験を存分に生かすことができました。 そして3年目は、継続業務に加え、地元山口県の「光駅前広場設計業務」に携わりました。大都市圏とは異なる地方都市のまちづくりに携われること、地方都市だからこそ見つかる価値を生かした提案を目指しました。

BOOK and SONSがお気に入り

今後、SOCIで挑戦したいことや、仕事に対する想いを教えてください。

短期的な目標としては、これまであまり経験がなかった地方都市や農村、漁村といった地域での仕事に挑戦したいです。育った地域や、祖母が住む中山間地域など、自分にとって身近な場所かつ人口減少等の社会的課題の最先端の都市に対して貢献したいという思いがあります。

また、幼い頃から身近にあった「河川」を対象とした仕事にも関わりたいです。河川空間は通行するだけでない複数のアクティビティが発生する場所として、他のパブリックスペースにはない面白さがあると感じており、業務を通してその奥深さを探求していきたいです。

将来的に目指すのは、『気づけば当たり前にそうだった』と思えるようなインクルーシブな空間づくりです。メインコンセプトとして大々的に掲げるのではなく、デザインや仕組みの中に自然と溶け込んでいることで、誰もが意識することなく、居心地良く過ごせるような場所をつくってみたいです。 母親が福祉関係の仕事をしていた影響もあり、知識は不十分ですが、福祉に対する課題意識は自然と芽生えていました。福祉の専門職とは異なるアプローチで、パブリックスペースという場所からこの課題に向き合いたいと考えています。

最後の質問ですが、福島さんにとって、パブリックスペースとはなんですか?

「人々が、思い思いにカスタムして過ごすことができる空間」です。

これは、自分自身が身の回りの作業環境や家のインテリアなど、自分好みのアイテムの配置を考えてカスタムしていくのが好きなので、特にそう感じているのかなと思っています。自分も然りですが日本人は、プライベートな空間での過ごし方には自由に使いこなしている一方で、屋外のパブリック空間での過ごし方にはまだ少し抵抗があるように感じています。 だからこそ、私たちは「こう使いたいから、こんな過ごし方をする」と人々が自分らしさを表現できるきっかけづくりができるような、そんな環境を整える仕事をしていきたいです。

商店街沿いの公園でのんびり